『もう風も吹かない』旅公演

2014年1月18日

 いよいよ『もう風も吹かない』の旅公演が始まります。

http://s.seinendan.org/play/2013/12/3157

 今日は、朝早くに東京を出て、三重県津市の三重県立文化会館で稽古、そのまま長駆、高松に来て夜は講演会。明日の朝早くに津に戻って、稽古の続き、通し稽古、本番となります。このあとも、厳しいスケジュールが続くのですが、それはまた、次回以降に書きたいと思います。

 昨年末は、思いがけず特定秘密保護法案に関するマスコミからインタビューをたくさん受けました。私は、特に熱心に、この活動をしていたわけではないのですが、もっとも尊敬する教育学者である佐藤学先生から誘いを受け、「特定秘密保護法案に反対する学者の会」の記者会見に同席したところ、その後、急に取材を受ける機会が増えました。
 マスコミでは、このブログにも書いたサンタクロースの話ばかりが取りあげられましたが、私はもう一つ、取材の際に必ず話してきたことがあります。それは以下のような内容でした。

 現在、私は、中国軍が尖閣に攻めてくるよりも、日本の国債が暴落する可能性の方が高いと思っています。もちろん、人によっては中国軍の方が脅威だという方もいらっしゃるでしょう。そのリスクがゼロだとは言いませんが、相対的に見れば、私は国債暴落の方が可能性は高いのではないかと考えます。
 さて、では、その可能性が現実になってきたときに財務省なり金融庁なりの幹部が、その情報を握ったとします。そして、それを、「金融テロの可能性がある」として特定秘密に指定することも十分に考えられます。この情報は、一部の官僚と政治家のみが知ることになります。おそらく、この情報を知った官僚や政治家は、聖人君子でもない限り、おそらく自分の資産を海外に移すことでしょう。しかし、そのような国を挙げてのインサイダー取引が行われても、その「秘密」は六十年間は伏せられます。六十年後には、関係者は誰も生きていないでしょう。
特定秘密保護法は、その範囲を外交、防衛に限らなかったために、こういったことが容易に行える環境を作ってしまいました。

 『もう風も吹かない』は十年前に書いた戯曲ですが、そういった、通貨危機に直面した日本の未来を描いた舞台です。今回の再演にあたって、多くの方に、そのリアリティは増していると評価をしていただきました。
ただし、主題は、政治的なものではありません。経済的に窮したときでも、人が人を助けるとはどういうことなのかを考えた作品です。
深刻な調子で書きましたが、歌も踊りもある、エンターテイメントな作品に仕上がっています。是非、多くの方に、劇場に足をお運びいただければと願っています。
よろしくお願いします。

 少し堅苦しくなったので、私的な話題も書きます。
 去る1月14日は、こまばアゴラ劇場の創設者である父・穂生の十年目の命日でした。父は神道でしたので、前日の13日に十年祭を、多磨霊園で営んできました。
 お墓参りのあとに、平田家の墓から歩いて二十秒のところにある三好十郎さんの墓を拝み、さらに歩いて一分のところにある岸田國士さんのお墓にもお参りしました。こちらは岸田今日子さんも眠っていらっしゃる、私にとっても大事なお墓です。
 今年も精進して、先人に並ぶような作品を残したいと思います。

 帰宅後、この日、成人式を迎えた劇団員の井上みなみが、我が家に来てくれました。