『暗愚小傳』あと3日

2014年10月14日

 台風一過ですね。
 今日から、『暗愚小傳』の小屋入りです。いまは装置を仕込んでいます。

http://www.seinendan.org/play/2014/07/3564

 
アンドロイド版『変身』では、様々な取材を受けました。海外からのものも多く、その一つがネットに出ています。

 この作品は、これから世界を回っていくことになると思います。

高村光太郎がパリに暮らしてから百年以上が経ちます。『暗愚小傳』のなかで、光太郎は以下のように書いています。

パリ

私はパリで大人になつた。
はじめて異性に触れたのもパリ。
はじめて魂の解放を得たのもパリ。
パリは珍しくもないやうな顔をして
人類のどんな種属をもうけ入れる。
思考のどんな系譜をも拒まない。
美のどんな異質をも枯らさない。
良も不良も新も旧も低いも高いも、
凡そ人間の範疇にあるものは同居させ、
必然な事物の自浄作用にあとはまかせる。
パリの魅力は人をつかむ。
人はパリで息がつける。
近代はパリで起り、
美はパリで醇熟し萌芽し、
頭脳の新細胞はパリで生れる。
フランスがフランスを超えて存在する
この底無しの世界の都の一隅にゐて、
私は時に国籍を忘れた。
故郷は遠く小さくけちくさく、
うるさい田舎のやうだつた。
私はパリではじめて彫刻を悟り、
詩の真実に開眼され、
そこの庶民の一人一人に
文化のいはれを見てとつた。
悲しい思で是非もなく、
比べやうもない落差を感じた。
日本の事物国柄の一切を
なつかしみながら否定した

高村光太郎の愛したパリでアンドロイド版『変身』が上演できることを望みます(早ければ来年にでも実現できそうですが)。