ベルリン後編

2014年5月18日

 もう、とっくに帰国していますが、ベルリンからの報告の後編です。

 ベルリンで観劇三昧の日々でした。
 一日一本ですが、平均の上演時間が三時間、一番長いオスターマイアーの新作は4時間半でした。しかもドイツ語、英語字幕上演。これを六日間で六本。
 他に、ドイツの演劇大学なども見学できて、たしかに充実した日々でした。

 前回も書いたように、世界中から参加者がいたので、たくさん友達ができました。
 イランの教授と、チリの俳優と三人で、「どこも地震があって大変だよね」と話したり、ボスニアとラトビアのプロデューサーとマームとジプシーについて話したり、どう見ても日本の普通のおばさんにしか見えないタジギスタンの劇場支配人(お父さんがタジキスタンの近代演劇の父と呼ばれている人らしく、だとすると日本で言えば岸田今日子さんみたいな感じでしょうか?)から演劇の講座を頼まれたりしました。
 
 全体の印象としては、ドイツは分業が進みすぎて、芸術家の存在が薄れてしまっているのではないかという感じでした。実際、一週間滞在していても、ドイツ人の演出家と直接話す機会はほとんどありませんでした。フランスが演出家同士の連帯によって仕事が進んでいくのとは好対照です。たぶん、ドイツの方が効率的に作品づくりができるのでしょうが。

写真は、ブレヒトのお墓です。この向かいにはヘーゲルの墓があり、すぐ近くにハイナ・ミューラーの墓もあります。

 ベルリンの帰りに、乗り継ぎの都合でパリによって、アンドロイド版『変身』の打ち合わせをたっぷりしました。そして、秋の『暗愚小傳』の稽古に向けて、ノートルダム大聖堂に参拝(?)。
 来月は、オデオンの稽古場を借りて、アンドロイド版『変身』のプレ稽古が始まります。ドイツでも、フランスでの地位と同じだけのものを得るために、また十年以上かかるのかと考えると目もくらむ思いですが、それでも来年には、ドイツの劇場でのオペラの稽古が始まります。