いよいよ『もう風も吹かない』

2013年11月02日

 BESETO演劇祭も佳境に入り、新国立劇場、こまばアゴラ劇場、アトリエ春風舎で、毎日一作品ずつを観劇する毎日です。
 若手の国際共同作品を観ながら、二つのことを強く感じました。

 一つは、若手演劇人が、現在の日韓中の関係を非常に厳しい状況として捉え、強い危機感を抱いている点。またそのために、非常に直接的な表現が目立っているとも感じました。もちろん、そのこと自体、芸術作品としては功罪があるとは思いますが、その事象にまず素直に驚きました。
 すでに私は、韓国との関係が三十年近くになり、どんな危機的な状況でも「まぁ、こんなときもあるさ」といった感じに思ってしまいます。歳をとって、どこか精神が鈍磨しているのかもしれません。もちろん、この鈍磨にも、やはり功罪はあるのですが。
 戦争になったら戦場に行くのは彼らですから、若い世代の方が切実になるのも当然かとは思います。私もまた、若手の作品に刺激を受けつつ、やはり自分のスタンスで、歴史と現在に目を向けた作品を、これからも創っていきたいと思います。

 もう一つは、そのような状況にあっても、十年前、二十年前に比べれば、日中韓の共同制作は格段に進展し、もはやそれが当たり前といった環境が整いつつあるという点です。私たちは、やはり、ここに希望を見いだしたいと思います。そして、ここにこそBESETO演劇祭を継続してきた意義があるとも感じています。
BESETO演劇祭は、11月10日まで開催されています。

 さて、いよいよ来週末は『もう風も吹かない』が、吉祥寺シアターで初日を迎えます。海外公演やBESETO演劇祭を挟んで、変則的な稽古時間になりましたが、ほぼ順調な仕上がりで、すでにお客様に十分に満足していただける水準になっているかと思います。
 売り止めの日も出てきていますが、追加公演の日を中心に、まだ余裕のある回もございます。ぜひ、劇場に足をお運び下さい。

http://s.seinendan.org/play/2013/08/1822

 追加公演の申し込み欄は、サイトの下の方に別枠であります。ご注意下さい。

https://komaba-agora.com/ticketsell/#pf560