ご挨拶が遅くなりましたが、新年明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い申し上げます。
昨年は、コロナ禍の中、江原河畔劇場の開設、劇団移転、豊岡演劇祭の開幕、芸術文化観光専門職大学の開学準備と怒濤の日々でした。
まだ今年も困難な時間が続きますが、粘り強く、一歩一歩進んでいきたいと思います。
青年団、こまばアゴラ劇場、アトリエ春風舎、江原河畔劇場は表現の場を守り、できるかぎり多くの作品を発信していきたいと願っています。
さて、首都圏一都三県に緊急事態宣言が発出されました。関西三府県や東海三県にもいずれ発出されることになるかと思います。
前回の緊急事態宣言と異なり、今回は劇場、映画館は休業要請や時短要請の対象外となりました。
これまでも私たちは、劇場は感染予防対策を行えば、比較的安全な場所であると主張してきました。今回の宣言発出にあたっては、そのことがやっと公的に認知されたものと安堵しています。
しかしながら一方で20時以降の外出を控えるという全体的な要請があり、これには劇場も対象となっています。
内閣府から、いま示されているガイドラインは要約すると以下の通りです。
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対象地域:東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県
制限時期:2021年1月12日0時〜2月7日24時
人数制限:実動員数5,000人未満か会場キャパシティの50%以内のどちらか少ない方
※12日以降は50%を超える券売はできない。
開業時間:なるべく終演時間が20:00までに収まることが望ましい
※ただし、既にチケットを販売した公演を予定している劇場は、20時までに閉館する必要はない。
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そこで青年団としては、
・アトリエ春風舎での『コントロールオフィサー』『百メートル』は、10日(日)の千秋楽まで予定通り上演を行いました。
こちらは、もともと観客数を定員の50%程度に抑えてチケット販売を行ってきました。
・『眠れない夜なんてない』吉祥寺公演も、上演を前提に準備を進めております。
こちらも、このような事態を想定して、チケットの発売は定員の50%にとどめておりました。
感染予防対策を徹底した上で、ソアレの上演も行います。お近くの皆様、通勤、通学の途上の皆様など、お立ち寄りいただければ幸いです。
・『眠れない夜なんてない』の旅公演は、現状、内閣府から、不要不急の移動にあたらないと見解が来ておりますので、公演先からの特別の要請がない限り、予定通り行います。
その際には、必要に応じて、出演者、スタッフのPCR検査を行います。
・豊岡市でも、少しずつ感染者が出ておりますが、江原河畔劇場や学校公演は、豊岡市の指導の下、いまのところ、これまで通り上演を続けます。
その際、東京からの出演者、スタッフは、必要に応じてPCR検査を行います。
・こまばアゴラ劇場、アトリエ春風舎は、上演団体の判断をできる限り尊重して上演の可否を決定していきます。
現状、こまばアゴラ劇場では、次々と上演の中止が決まっております。
すでにチケットをご予約の皆さん、公演を楽しみにしてくださっていた皆さん、支援会員の皆さんには申し訳ない限りです。
予約済みのお客様に、電話などで公演中止をお知らせすると「劇場は安全と言っているのに、なぜ中止にするのか?」と、職員がお叱りを受けることもあるようです。本当に申し訳ないと思います。
こまばアゴラ劇場としては表現の場をできる限り守っていきたいと考えています。しかしながら、上演団体の事情は様々です。出演者に持病を持った方がいる場合、家族に乳幼児や高齢者がいる場合、地方から参加する劇団などなど、それぞれが苦渋の決断で上演中止ないし延期を決定しています。特に、ここに来て決定的なのが、稽古場の確保が難しくなっている点です。公共施設の多くが閉鎖あるいは時短となり、小劇場の劇団にとっては死活問題となっています。
どうか、このような多様な要素をご理解いただき、さらなるご支援とご協力をお願いできればと存じます。
こまばアゴラ劇場の支援会員制度は、すでに本年(2021年)9月までの有効期限の延長を発表しておりますが、さらなる延長も視野に入れて検討をしております。この点もご理解を賜れればと存じます。
2021年1月12日
平田オリザ