帰国しました

2011年2月01日

 40日間の長いフランス滞在を終え、やっと日本に帰ってきました。

 フランス語版『銀河鉄道の夜』は、無事に初日があきました。

1月25日の昼2時の回、子ども向けの上演で幕を開け、25日の夜が大人向けの初日。
この作品は、サルトルビル国立演劇センターが主催する児童劇のフェスティバル「オデッセイ」の参加作品で、この日がその開幕日だったために、オープニングセレモニーも併せて行われました。

 26日は水曜日で、学校が休みの日なので休演。
 27日、28日は、朝10時の回と2時15分からの回があって、これはそれぞれ、近隣の小学校からバスで子どもたちがやってきます。
 子ども向けと書きましたが、一カ所だけ演出を変えた以外、大人向けも内容はまったく同じです。
29日は、朝から演劇祭を記念するシンポジウムが延々と続き、私も少し参加しました。この演劇祭には他に、トーゴ、パレスチナ、スウェーデン、キューバ、ブルキナファソなどの作家が参加しています。
 この29日の夜に、もう一度大人向けの上演があって、これでこの劇場での上演は一区切りです。

この四日間は、本拠地、サルトルビル国立演劇センターでの上演ですが、このあとは、イブリン県内各地を回る旅公演になります。児童劇で、主なお客さんは、地域の小学生なので、会場によっては朝9時開演のところもあるようです。

各学校では、観劇の前に、演劇の内容や日本についての授業が行われます。
この授業のための資料なども劇場側で用意します。
 また、観劇後も、クラスでディスカッションなどを行うようで、その感想が数日後には劇場に届きます。

 また、今回は、現在文化交流使として文化庁から派遣されている山内健司が、私が書き下ろした『舌切り雀』(ロアン・グットマン演出)を持って、同じイブリン県内を回っており、希望する学校は、教室でこの一人芝居を観ることができます。
 ですから、クラスによっては、観劇の前後10日間くらい、日本文化について様々な角度から学び感じ取ることになります。

上演は好評ですが、好評というだけでは済まされないところが、こちらの厳しいところです。評価は比較的はっきりしています。一つは、来年度以降もどこかの国立演劇センターから、私に仕事の依頼が来るかということ。もう一つは、この『銀河鉄道の夜』が、来年度以降も売れて、全国上演になるかどうかということ。
3月と4月にも、もう一度ずつ渡欧するので、その頃にはある程度の結果が出始めているでしょう。

 さて、ご挨拶が遅れましたが、2011年、新旧おりまぜて私の作品が数多く上演されます。久々に、劇団への新作書き下ろしも行います。今年一年も、変わらぬご愛顧をよろしくお願いいたします。

また、さかのぼってのご報告になりますが、昨年、ソウルで上演された韓国語版『眠れない夜なんてない』(パク・クニョン演出)が、以下の演劇賞を受賞しました。
 
『韓国演劇』誌選定 今年の演劇Best7
韓国演劇評論家協会選定 今年の演劇Best3
韓国演劇協会 大韓民国演劇大賞 作品賞
 
 演出のパク・クニョン氏はじめ、上演を実現してくれた韓国側スタッフに感謝いたします。私も韓国の友人たちに負けずに、いい作品を作っていきたいと思います。

2011年も、青年団をよろしくお願いいたします。

 

2011年1月31日  平田オリザ