新年のご挨拶

2010年1月07日

 新年、あけましておめでとうございます

私は今、フランスのノルマンディー地方にあるカーンという街に来ています。
 1月3日に渡仏し、4日から、ここカーンの国立演劇センターで、『鳥の飛ぶ高さ』の稽古が始まっています。昨年、京都と東京でご好評をいただいた『鳥の飛ぶ高さ』は、今年1月14日のカーン公演を皮切りに、フランス国内五都市を回ってツアーを行います。
 2月15日からの名門パリ市立劇場での公演は、7月の会員向け販売で全日完売となり、20日昼の追加公演が決定しました。

また二月中はリヨンに滞在し、こちらの高等師範で、客員教授として特別講義をします。
上記、パリ公演中は、パリ市立劇場の付属演劇学校でも授業を行います。
今シーズン、フランスでの私の作品の上演は『鳥の飛ぶ高さ』のみですが、来年1月にはサルトルビルの国立演劇センターで、新作の制作が決まっており、今後もフランスでの活動は継続して進めていきたいと願っています。

 今年は青年団本体への新作書き下ろしはありませんが、五月には文学座に新作『麦の穂の揺れる穂先に』を書き下ろします。戌井市郎先生の演出、江守徹さんの主演です。
 7月のBESETO演劇祭では、日中韓共同制作の『東京ノート』を上演する計画です。
なお、『東京ノート』は昨年、大阪の国立国際美術館での上演が、芸術祭の優秀賞を受賞しました。初演から15年目経っても、いまだ色あせず、受賞の対象となることを誇りとしたいと思います。
 夏には、大阪大学との提携で、初の本格的なロボット演劇『森の奥』を、あいちトリエンナーレで上演する予定です。
他にも、春に『革命日記』、秋に『砂と兵隊』を再演します。

 昨年は、10月になって、内閣官房参与就任という、自分でもどう捉えていいのか分からない大きな変化が、生活の中に起こりました。仕事の優先順位をどう付けていいのか、今も試行錯誤の日々ですが、大阪大学の仕事も含めて、周囲への迷惑を最小限にするように頑張っていきたいと思っています。
いずれにしても、私のホームグラウンドは、演劇であり、アゴラ劇場と青年団です。本年も、よりいっそうのご愛顧、ご支援を、よろしくお願い申し上げます。

今日は、ノルマンディーは一面の雪景色です。

2010年1月6日  平田オリザ